高野山『はたらく旅』紹介所

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日本各地で短期の住み込みをしながら働いているそうですね。その中で高野山を選んだのはなぜだったのですか？

　2024年2月から日本各地で働いていますが、高野山にはずっと憧れがありました。観光としても行ってみたかった場所で、そんな高野山に「滞在しながら働ける」というのが魅力的でした。

広島県・倉橋島の火山(ひやま)から瀬戸内海を見渡した景色

高野山での住み込み期間を途中で延長していただきましたが、理由はなんだったのですか？

　働くのと休みのバランスがすごく良くて、私にはちょうどよかったんです。それに派遣先の宿坊寺院の方々から教えてもらったお仕事を色々とできるようになってきたのが楽しかったからというのもあります。

　また宿坊寺院さんの居心地も良くて、個性豊かな方々がいたのも面白かったですし、メインのお仕事は宿坊寺院さんだったので数か所行かせていただきましたが、中央案内所でもスポット的に観光案内のお仕事をできたのが新鮮でした。

雪景色の宿坊寺院さんがとても綺麗でした

西室院さん精進料理は格別です！

中央案内所の抹茶ラテも美味しかったです！

高野山での生活はいかがでしたか？

　宿坊寺院さんで働きつつ生活をする中で、自分を振り返る時間が持てました。仕事をしていても、僧侶の方がお経を唱えている声が聞こえたり、「生かせ  いのち」という空海さんの教えが高野山のあちこちにあったりして、自然と立ち止まって自分に向き合える機会が多かったです。

　滞在中に自転車で転んでケガをして、数日、出歩けなくなった時があったのですが、その時に「今までの自分は忙しすぎたのかも」と気づきました。きっと立ち止まって考える時間が必要だったんだろうなと感じました。

　そして、宿坊寺院さんのご厚意で寺院内に置いてある本を借りさせていただき、空海さんの教えを読むうちに、いろいろと学ぶこともできました。

弘法大師・空海のお言葉

宿坊寺院さんのお庭を眺めながら本で教えを学びました

弘法大師・空海の教えを身近に感じることが多かったのですね。

　そうですね。例えば、学生僧侶さんがテスト勉強のために空海さんの教えを互いに確認し合っていたりして、「みんなが自然と勉強している空間」が素敵でした。

　人と概念や価値観をすり合わせる機会ってなかなかないけど、ここではそういう時間が自然に生まれていました。自分を見つめ直そうと思って来たわけではなかったのですが、気づいたらそうなっていました。異国のような場所、高野山だからこそだったのかもしれません。

大門付近から眺めた夕陽

高野山で親しくなった方はいましたか？

　ある宿坊寺院の若い僧侶さんですね。若いのに信念がしっかりしている方でした。お寺の住職ではないのに、その方の話を聞きたいという信者さんがたくさんいる方で、印象に残っています。

　他にも、別の宿坊寺院で住み込みスタッフの方がいて、私が各地を巡りながら働いている話をしたら応援してくれたんです。こうやって、励ましてくれる人がいるのは心強かったし、共感してくれる人が多いのも高野山の魅力でした。高野山にいる人は、みんな人生の旅をしているような人が多いと感じました。

同時期に参加した仲間とともに「大餅投げ」に参加！

高野山での経験で価値観に変化はありましたか？

　空海さんの教えに触れることで、旅をしながら働くことを選んだ道が「今につながっている」と気づきました。会社員時代に一度立ち止まり、自分の壁を破って旅に出る選択をしたことが、今の自分にとって正解だったと思えました。

紅葉の中の高野山も見事でした

滞在期間が長いからこそ冬景色も見れました

会社員を辞めて旅に出ようと思ったきっかけは何かあったのですか？

　コロナをきっかけに実家に戻ったことが大きいです。自分が動きやすい身軽な環境になって、一か所に留まるよりも「日本の中で自分の居場所が増えたらいいな」と思ったんです。

今後の展望があれば教えてください。

　今は日本各地で働きながら地域の魅力を知るのが楽しいですね。美しい海を見たり、知らなかった地域の良さに触れたりと刺激が多くて充実しています。これからも「来てほしい」と言われた場所にはまた行きたいですし、まだ知らない土地にも行ってみたいです。

高野山・女人道めぐりに参加

どんな人に「高野山での住み込み仕事」をおすすめしたいですか？

　年齢は関係なく、好奇心旺盛な人におすすめしたいです。新しいものに出会いたい人や、これまでのこだわりにとらわれず柔軟に行動できる人には向いていると思います。臨機応変に動けて、自分を変えられる人なら、きっと楽しめるはずです。

壇上伽藍につづく蛇腹路の紅葉が美しかったです

滞在期間を終えた他メンバーのお見送り。素敵な出会いが沢山ありました！