
心の荷物が下せる場所、高野山。仏教を身近に感じる日常が心のリセットをしてくれました。
プロフィール
【氏名】富山 美幸(30代)
【職業】画家
【業務内容】
・宿坊寺院における客室清掃、配膳等の運営補助業務
・高野山宿坊協会「中央案内所」での観光案内、接客業務
【時期】2024年11月上旬から4週間
- # 30代
- # 世界遺産
- # 日常リセット
- # 社会人
インタビュー内容
ご職業について教えてください。
現在、鹿児島県の屋久島で住みながら画家として壁画や絵を描いて生活しています。昨年の夏までは島内でカフェも経営しておりました。
はたらく旅に参加したきっかけは何ですか?
屋久島と高野山はどちらも世界遺産であり観光地化している状況が似ているので、住んでいる人と観光客との関係性に興味がありました。また仏教にも以前から興味があり、自然と高野山に興味を抱いていました。
そのため、高野山に観光ではなく、そこの生活に密接して滞在したいという気持ちから長期滞在できるはたらく旅に参加しました。

経営していたカフェでデッサン教室をされている富山さん
アーティストとしての感性を広げたい目的もあられたんですかね?
そうですね、特に曼荼羅にすごく興味がありました。チベット曼荼羅や、両界曼荼羅にも前から関心がありました。それで、根本大塔の立体曼荼羅にも触れてみたいと思っていました。
それに、私の壁画の仕事では屏風絵のような絵を描いたりしていたので、自分の仕事に活かせる部分が多かったです。それを間近で見られたのは本当に素晴らしい体験でした。

宿坊寺院さんで拝見した襖絵はどれもとても素敵でした
高野山では1日をどのように過ごされました?
朝はほぼ毎日6時頃から奥の院を歩いてお参りし、その後は梵恩舎というカフェでお茶を楽しんだり、夜は根本大塔がライトアップしているのでそちらの方面を散歩したりもしていました。
また、シフトの入っていない時間は自転車で高野山の散策をしていました。 11月の肌寒い時期でしたが、散歩や自転車での散策にはちょうど良かったです。

奥の院の散歩中に撮った一枚

ちょうど紅葉も見頃で綺麗でした
滞在中、楽しかったことと言えば?
初めは、観光として名所を巡るのは楽しかったですが、約1ヶ月滞在すると、生活の一部として仏教の営みがあるということを実感できました。近くのお寺で毎日護摩をあげていたり、奥の院でお経があがっていたり、仏教的な生活が自然に身近にあるのは貴重な体験でした。
もう一つ挙げるならば、個性的な人々との出会いが楽しかったです。お寺さんによって様々ですが、ある宿坊寺院さんでは奥様と一緒に草抜きをしたり、働いているスタッフの方々と一緒に布団の上げ下げをしながら、様々な考えや思いを聞けてとても素敵な経験でした。
アーティストとして、宿坊寺院にある骨董品や装飾品を見て何か感じたりしました?
宿坊寺院さんで実際に働いていると様々な場所の襖絵や骨董品を多く目の当たりにしました。傷ついたり破損したら怖いくらいの高級そうなものを客間に使用されていたりして驚きましたし、古いものをリメイクして新しい形で使われているのを見て心打たれました。
また、京都の有名な画家の方の壁画が描かれている宿坊寺院さんもあって、古いものと現代のものが素敵にミックスされているところがとても良かったです。

様々な掛け軸や骨董品があり、拝見できてとても貴重な体験でした
南の島で暮らす富山さんにとって、高野山は暮らしやすかったですか?
空気もきりっとしていて、ジメジメしていないので、とても快適でした。生活についても洗濯物は乾燥機や部屋の物干しで乾かせるし、Amazonで物がすぐ届くので、不便さを感じませんでした。
また、高野山の天然水が汲める場所もあり、空気や水が非常にきれいで、自分の体に合っていると感じました。

社員寮で他のスタッフの方々と天然水・水道水の飲み比べ会をしました!
最後に、高野山「はたらく旅」をどんな人におすすめしたいですか?
私は転換期にあったので、自分を見つめ直したい人におすすめです。
なんとなくですが、心に荷物を抱えている人にとって、高野山はその荷物を下ろせる場所であり、余計なものを取り去れるというか、雑念をなくすことができる場所だと感じました。
宿坊の清掃や客室の清掃・準備などの際も、ふと気づくと周囲はお祈りの音に包まれたりします。まさに自己を見つめる良い時間だったなと思います。俗世から離れ、高野山という特別な場所で過ごすのは、「心のリセット」にぴったりだと思いますよ。

高野山で撮ったお気に入りの一枚です